※本記事は2018年1月1日時点の法律を基に記載しています。
今回は一時金でiDeCo(イデコ)を受け取ることを決めた人に注意してほしい税金の話です。
60歳になってiDeCo(イデコ)をいざもらうことになった時に税金のことは一番に考えないといけません。
iDeCo(イデコ)の受け取り方法はいくつかあります。
受け取り方を知りたい方は以下の記事で説明していますのでご確認ください。
一方で、一時金で受取る場合には受取ったiDeCo(イデコ)の所得は退職所得になります。
今日はその応用編で、複数の退職金を受け取った場合の税金の考え方です。
少し複雑ですのでわからない部分は最寄りの税務署か税理士に聞きましょう。
複数の退職金とは
iDeCo(イデコ)は退職所得になると言いましたが、例えば企業に属していたら企業DC(確定拠出年金)や確定給付年金などの企業からの退職金、また小規模企業共済など自分で加入した一時金の制度など、他にも退職所得に該当するような所得が多くあります。
そういった複数の制度から退職所得を受け取る場合には少し注意が必要です。
複数の退職金制度から受取る場合の基本ルール
複数の制度から退職所得を受け取る場合の基本ルールは以下の通りです。
・収入は合算して計算される
・退職所得控除の勤続年数・加入年数は長いほうの年数が適用される
・勤続年数・加入年数が重複していない期間はその部分は加算できる
事例に当てはめながら順番に見ていきましょう
事例
あなたは2つの退職金制度に加入しているとします。
①企業の退職金制度…30歳~60歳まで加入し、60歳の退職金が1500万円出ました
②iDeCo(イデコ)…40歳~60歳まで加入し、60歳になったら500万円受取りました
収入は合算する
まず一つ目の収入は合算するというルールですので、1500万+500万=2000万円が収入となります。
注意点としてはiDeCo(イデコ)だけで収入を計算したり、どちらかを申告漏れしてしまうと計算を間違えてしまうので、受け取る退職金は網羅的に把握するようにしましょう。
年数は長いほうを採用
企業の退職金制度は30歳から60歳まで30年間入っていました。iDeCo(イデコ)は40歳から60歳まで20年間入っていました。
基本ルールでは長いほうが採用されるので、企業の退職金制度である30年が採用されます。
注意点としては収入は合算しましたが、加入年数は合算しないということです。
間違っても30年+20年=50年としてはいけないということです。
なお、今回は重複していない期間がないので、税金の計算は以下の通りになります。
収入:2000万円
退職所得控除:
年数30年ですので800万+70万×(30年-20年)=1500万円
つまり退職所得=(2000万-1500万)×1/2=250万円となり、250万円に税率をかけた金額を税金として納める必要があります。(ここでは詳細は省略します)
複数の退職金をもらう時の注意点
おおむねの計算ルールはわかってもらえたでしょうか。
でもこんなことを書くと「だったら2つの退職金を別々の年に受け取れば税金がかからないのではないか?」
と考える人が出てきます。
そのため退職金の合算ルールには以下の補足ルールが付きます。
・iDeCo(イデコ)含む確定拠出年金(DC)…前年以前、14年以内に他の退職金を受け取っていた場合は所得計算上合算する
・その他の退職一時金…前年以前、4年以内の他の職金を受け取っていた場合は所得計算上合算する
つまり、多少受け取る期間をずらしても結局支払う税金は同じということですので、あまり小細工はしすぎないようにしましょう。
逆に言えば受け取る期間を大幅にずらせるのであればそちらのほうが恩恵があるので戦略的に受け取り計画を立てていきましょう。
まとめ
iDeCo(イデコ)は税金がかからない!と思っていると思わぬ落とし穴がある可能性があります。
ただし、iDeCo(イデコ)で税金が減ることはほぼ間違いありませんので支払うべきときにはしっかりと税金を払っていくことが重要です。
また、わからないことや少しでもイレギュラーなことがある場合には最寄りの税務署や税理士にしっかりと確認することが重要です。